αxSC シンポジウムシリーズ
-- 「なにか」とスーパーコンピュータ --

「都市計画とスーパーコンピュータ」

シンポジウム概要

「なにか×スーパーコンピュータ(SC)」というテーマを掲げ、その「なにか」の分野で、今までスーパーコンピュータとの関わりがあまりなかった方、および、既にスーパーコンピュータを活用されている方、それぞれにご自身の研究や業務の内容を講演して頂き、さらに、それらを踏まえた講演者および参加者の意見交換を行うシンポジウムです。これにより、相互の情報交換や交流を促進するとともに、さらなるスーパーコンピュータ活用の可能性の模索や、そのためのスーパーコンピューティング環境改善を図ります。

今回はその「なにか」を「都市計画」とし、災害や人、モノの流れのシミュレーション技術に関する講演、および社会を評価する経済指標についての講演を予定しています。講演後は、これらを踏まえた自由討論を通じて、これまでにない成果の創出につながる新しい可能性を探求したいと思います。皆様の奮ってのご参加をお待ちしております。

開催日時

2020年 1月10日(金) 13時00分 ~ 17時30分

プログラムおよび講演資料

13:00-13:10開催挨拶
13:10-13:50講演者:浅井 光輝(九州大学工学研究院 准教授)
講演題目:スパコンを使った地震・津波被害予測とVRを使った仮想避難体験
講演概要:
「地震予知はできない」、東日本大震災・熊本地震等を受け、地震防災の考え方を根本的に見直すことになりました。自然が相手なので、予知は確かに厳しいものです。ただし、想定された地震・津波に対する被害をスパコン等で予測する試みは継続しています。その研究の最前線の話と、最先端の計算を使ったVRを使った仮想避難体験システムについて紹介します。
13:50-14:30講演者:斎藤 参郎(福岡大学都市空間情報行動研究所 研究特任教授)
講演題目:回遊行動とリアルタイムIoTアナリティクス
講演概要:
これまで福岡市を中心に回遊行動調査を継続して実施し、まちづくりにおける回遊行動研究の分野を開拓してきました。 本講演では、消費者志向のまちづくり、ともよんでいる、私たちのまちづくりに対するアプローチを、実際の研究事例を取り上げながら、わかりやすく解説します。さらに、スマホやIoTによるリアルタイムの回遊行動の把握が消費者のまちへの来訪価値や都市エクイティ(まちの価値)に大きな変革をもたらすことを展望します。
14:30-15:10講演者:井料 隆雅(神戸大学工学研究科 教授)
講演題目:大規模道路ネットワークを対象とした交通流と交通需要のシミュレーション
講演概要:
都市における道路ネットワークの整備や制御の方策を数理モデルで評価することは都市計画において重要な要素であり、多くの研究成果が蓄積されている。近年では、道路ネットワーク上の動的な交通流を計算機でシミュレーションすることも多く行われるようになっている。一方、交通流シミュレーションの前提となる交通需要のシミュレーションに関する研究は多くはなく、特に、大規模道路ネットワークを対象とした計算については、その莫大な計算負荷が実用化の障害のひとつとなっていた。本発表では、井料らが開発した、大規模道路ネットワークにも対応できる高並列の交通流シミュレータFastDUEと。平時および災害時に対応した交通需要シミュレータ群DeSuTAについて、近畿地方の道路ネットワークを対象としたケーススタディを含めて紹介する。
休憩
15:30-16:10講演者:藤澤 克樹
(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター特定フェロー)
講演題目:サイバーフィジカルシステムにおけるモビリティ最適化エンジンの開発と産業応用
講演概要:
近年、最新技術の組合せや融合によって、安心、安全、便利ないわゆる超スマート社会(Society 5.0など)を実現するための様々な取り組みが世界中で推進されている。ICTの向上により、実社会で起きている現象を、計算機上で事前にモデル化し、さらに環境変化に対するシミュレーションや最適化を実施することで、ビジネスモデルとしてのサイバーフィジカルシステム(CPS)を実現することができるようになった。本研究では、CPS を対象として大量のセンサーデータ(ヒト・モノの移動等)やオープンデータ(Wi-Fi 等の移動履歴)などを用いて実社会のデータから、サイバー空間での最適化やシミュレーションを行うCPS モビリティ最適化エンジン(CPS-MOE)の開発を行い、新しい産業の創出、コストや廃棄物の削減、交通機関の最適制御スケジュールの算出に寄与するサービスの集合体を構築して、利用者が”作業”、”生活”、”娯楽”、”安全”を行うための、最適な時間・空間を提供することを目的としている。本講演では、これらの取り組みについて解説を行う。
16:10-16:50講演者:若松 美保子(九州大学大学院工学研究院 助教)
講演題目:包括的な豊かさの研究
講演概要:
「経済」の指標化といえば、GDP(国内総生産)が最たる例であるといえる。各国の経済政策上の目標としてこれまで、広く利用されてきたが、物的な豊かさのみに焦点を当ててきた指標が、豊かで持続可能な社会を、反映できているかは疑問がある。健康・教育問題、気候変動問題やさまざまな資源問題を解決し、持続可能な社会を実現するための目標として利用できる指標を開発した。
16:50-17:30自由討論
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