αxSC シンポジウムシリーズ
-- 「なにか」とスーパーコンピュータ --

「教育とスーパーコンピュータ」

シンポジウム概要

これは、「なにか×スーパーコンピュータ(SC)」というテーマを掲げ、その「なにか」の分野で、今までスーパーコンピュータとの関わりがあまりなかった方、および、既にスーパーコンピュータを活用されている方、それぞれにご自身の研究や業務の内容を講演して頂き、さらに、それらを踏まえた講演者および参加者の意見交換を行うシンポジウムです。
今回はその「なにか」を「教育」とし、近年注目されている教育ビッグデータを活用した教育支援や、学習中の生体情報に関する研究について、5名の講演者の皆様にご講演いただきます。また、それらの研究におけるスーパーコンピュータ活用等について、参加者を含めた意見交換を実施し、これまでにない成果の創出につながる新しい可能性を探求したいと思います。これにより、相互の情報交換や交流を促進するとともに、さらなるスーパーコンピュータ活用の可能性の模索や、そのためのスーパーコンピューティング環境改善を図ります。皆様の奮ってのご参加をお待ちしております。

開催日時

2020年 3月23日 13:00 - 17:30

プログラムおよび講演資料

13時20分~13時30分はじめに
13時30分~14時15分講演者:木實 新一(九州大学基幹研究院 教授)
講演題目:高度融合型計算環境における教育支援の可能性と課題
講演概要:
本講演では、九州大学における教育データの活用事例等をいくつか取り上げ、データ解析とシミュレーションの融合など計算環境の高度化を前提に、今後どのような教育支援を実現できる可能性があるか議論する。また、今後解決すべ課題についても述べる。
講演資料
14時15分~15時00分講演者:緒方 広明 (京都大学学術情報メディアセンター 教授)
講演題目:教育データとラーニングアナリティクス:エビデンスに基づく教育の実現に向けて
講演概要:
ギガスクール構想やBYODなどの推進により、教育のデジタルトランスフォーメーションは、急速に進んでいる。このような中、1人1台の情報端末を利用して、教育・学習のログデータを収集して分析し、教え方や学び方を改善をしていく、ラーニングアナリティクスという研究分野が注目されている。本講演では、国内外のラーニングアナリティクスの研究動向を紹介し、今後の展望について述べる。
講演資料
15時00分~15時45分講演者:殷 成久(神戸大学情報基盤センター 准教授)
講演題目:eBookの利用履歴データ活用に向けた学習行動分析
講演概要:
近年では、OER(Open Educational Resources) やMOOCs(Massive Open Online Courses)などのウェブを通じて講義を一般公開するなどの形で、学校に限らない広範な範囲での学習環境を提供する技術が普及し始めている。これらの教育システムは、学習プラットフォームを提供するだけでなく、学生が閲覧したページ、メモ、テスト成績、演習やレポート課題、学生間の交流活動などについて、多様かつ大量の学習ログが蓄積されつつあり、教育分野におけるラーニングアナリティクスが注目されている。特に日本ではe-Bookに関する学習分析が多く存在する。
そこで本講演では、演者がeBookシステムに残された学習ログを用いた学習行動分析について紹介する。学習分析をデータ収集、データ処理、データ分析、分析結果確認、分析結果応用という5つの段階に分けて、各段階の問題点やよく使われた手法などを紹介する。最後に、今後の計算機センターへの利用についても検討する。本講演を聴いて頂いた後には、この分野に少しでも興味を持ってくれる人が増えてくれれば幸いである。
講演資料
15時45分~16時05分休憩
16時05分~16時50分講演者:島田 敬士(九州大学大学院システム情報科学研究院 教授)
講演題目:教育ビッグデータに基づく学習分析に関する研究
講演概要:
学習管理システムやデジタル教科書システムに蓄積される教育ビッグデータの分析を通して現場の教育や学習をリアルタイムに支援したり、教育・学習の改善や教材改善のためのフィードバックを行う研究の取り組みを紹介するとともにスーパーコンピュータの活用への期待について述べる。
講演資料
16時50分~17時35分講演者:松居辰則(早稲田大学人間科学学術院 教授)
講演題目:生体情報を用いた学習者の心的状態推定の試み
講演概要:
学習支援においては知識理解状態の側面に加えて心的状態の側面も重要である。 しかしながら、心的状態は外部に表出されない場合も多く、外部からの観測のみで推定することは困難な場合が多い。そこで、我々は生体計測によって学習者の学習中の心的状態の推定を試みている。特に、多種多様な生体情報と心的状態との関係を深層ニューラルネットワークを用いて導くことを試みている。このとき、時系列情報としての扱い、ラベリングコストの問題、少数データからの学習等、様々な解決するべき問題が併存する。これらの課題の解決に向けての試みと今後の展開の可能性を議論したい。
講演資料
17時35分~18時30分総合討論
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