田中 義朗:
常微分方程式の解の検証付き数値計算法,
九州大学大学院理学研究科修士論文, 1992, 72pages.


現在,常微分方程式の解の存在を数値的に検証する方法について, 様々な研究がなされている。 中でも,初期値問題や境界値問題については, 多くの研究者たちがその解の存在を数値的に検証する方法を提唱している。 本論文では,最近提唱された代表的ないくつかの方法について解説し, それらを方法論的見地から考察する。

数値的検証法は,方法論的にみて次の三通りに分類することができる。

    (1)区間解析に基づく検証法 
    (2)解析的方法に基づく検証法
    (3)の両者の中間的な混合法
(1),(2),(3)をそれぞれ説明すると,(1)は数値計算に用いられる実数の区間を, 関数値がその中に含まれる全ての関数を表す関数空間の部分集合とみなすことができる という事実を問題の方程式の解の存在の検証に利用する方法である。 この方法は,主にドイツの区間解析の研究者たちの間でよく用いられている。 Lohnerの方法やKaucher-Mirankerがその代表的な方法である。

これに対して,(2)は問題の方程式に関して現われる関数や作用素のノルムを数値的に評価して, それらの関係式がある特定の条件(例えばKantorovichの定理の仮定等)を満足することを確かめるという方法であり, 最も古くから行われている。 McCarthyの方法,Kedemの方法,Urabeの方法がその代表的な方法である。

(3)は基本的に(2)の方法に近いが,区間による関数の集合の表現を, 検証手順の一部において,本質的な役割を果たす道具として利用するという方法である。Nakaoの方法がその代表的な方法である。72ページ。