渡部 善隆:
連立1次方程式の基礎知識〜およびGaussの消去法の安定性について〜,
九州大学大型計算機センター広報, Vol.28, No.4 (1995), pp.291-349.


学会や研究集会での発表や、そこでの議論を聞いていると、 (時間が限られていることもあって) ある「知識」を持っていることが前提となって話が進んでいく場合がよくあります。 特に数値計算の分野では、「××法」と名のつく方法が山のように登場します。 その方法の「意味」がわかっているなら問題なく話について行けるのですが、 何を言っているのかイメージすら掴めないことが往々にしてあります。 この場合、そこからの議論に取り残されてしまい、 ``ぼやっ〜''と聞いているうちに完全に興味を失ってしまい、 「セッションが終ったら何を食べにいこうかなぁ」 などと違うことを考えるようになります。 それはよろしくありません。

この記事は、科学技術計算の主役の一つである連立1次方程式の数値解法に 登場する手法および用語の解説です。この分野の用語の特徴は、 ``略語だらけ''で、``よく知らない人の名前が多い''ことです。 解説は最低限の意味の説明にとどめ、数学的な証明や具体的な アルゴリズムはすべて参考文献に押しつけています。 さらに詳しく知りたい方は、記事の終りに文献紹介および 「優れた文献を紹介している文献を紹介」しますので、そちらを御覧下さい。

なお、最後の章でGaussの消去法の安定性に関する興味ある (ある面で恐ろしい)話題を紹介します。 こちらも「知識」として持っていると、例えば座長をしていて 質問に窮したときや、懇親会で知らない人に囲まれた ときなどに役立つかも知れません。 この記事によって、多少ともみなさんの``ぼやっ〜''とする 時間が減ることになれば幸いです。56ページ.

ひとつ戻る〕 〔メインメニューに戻る